婦人科疾患

女性不妊(卵管狭窄)

女性不妊(卵管狭窄)の概要

女性が結婚後、配偶者の生殖機能が正常で、夫婦が3年以上同居し避妊していないのに妊娠しない場合は、原発性不妊と呼ばれます。以前に妊娠出産育児を経て、未だ避妊処置をしておらず、また3年以上の間再妊娠しない者は継発性不妊と呼ばれます。併せて不妊証と言います。(注:中医学で不妊は、「不妊証」といいます。「不妊症」のタイプミスではありません。)

中医では本病に対する研究は比較的深く、本病における病因病機も比較的複雑で、虚によっても実によっても病にいたると知られています。病機の主要は腎と衝任二脈に関係があります。腎は精を蔵し、先天の元気の本で、生殖を主ります。衝脈は血海で、任脈は胞胎を主ります。ゆえに腎精腎気虚弱、あるいは衝任脈失調、あるいは痰湿阻胞、あるいは気滞血オのどれもみな不妊証にいたります。本証の治療はどれも調経を主として、なおかつ虚実の違いを根拠に、補気・滋陰・理気・化オの諸法を分けて配合します。

症状

受胎の条件は正常発育している卵子と精子があることが必須です。かつ、精子と卵子が卵管内で出会い受精し、受精卵が適時に子宮内膜中に着床し、正常なホルモンで胚胞の発育が維持されなければいけません。であるので、女性側から言うと、不妊証が出現する主要は卵巣ホルモン失調および卵子の生成異常、精子・卵子結合通路阻害による受精卵着床障害などの3方面による素因から異常にいたります。卵管閉塞は通路方面の問題に属し不妊にいたります。

卵管閉塞患者は卵管造影試験で閉塞が見られます。卵管通気術・通液術と子宮卵管ヨード油造影術などの試験で卵管通暢状況を検査することができます。

鑑別

(1)先天性生理および解剖的不具合による不妊:
不妊が女性の先天的な生理あるいは解剖的不具合による場合。例えば膣の狭窄・処女膜肥厚・膣内に膜が横切っているなどによって不妊になる場合です。古人は「五不女」と呼びましたが、手術治療をしなくてはいけません。

(2)子宮内膜転位症:
これは子宮内膜の成長が子宮腔以外の組織で起こることを指します。この種の転位した内膜は卵巣ホルモンの周期的変化にしたがって発生増殖・分泌・出血をします。臨床では二種類型に分かれ、すなわち外在型と内在型です。外在型は子宮内膜転位が子宮以外の組織内にあるものを指し、最もよく見られる部分は卵巣です。その次が直腸子宮窩および仙骨子宮靭帯です。卵巣内で月経周期変化にしたがって逐次大きくなってゆき、嚢腫を形成します。またチョコレート嚢腫とも呼ばれます。直腸子宮窩の病巣では、粘度が高く硬く連なるように形成されることがあり、ときに直腸や膀胱を犯すことがあります。内在型は子宮内膜様組織が子宮筋層に出現します。弥漫性に分布した場合は子宮腺筋症と呼ばれます。また局在性に分布し腫瘤様のものは子宮腺筋瘤と呼ばれます。子宮内膜転位症が不妊を引き起こします。卵管造影試験(原文では卵管通暢試験とある)・骨盤腔内超音波検査によって確定診断します。

鍼灸治療

(1)治療法則:
疏肝解鬱・調経種子(肝を健やかにしうっ滞を除く、生理を整え妊娠させる)
去湿化痰・理気啓宮(水の代謝を良くし、気を整え妊娠させる)
活血化オ・理気調経(血行を良くし、気を整え生理を調える)

(2)配方:省略
(3)操作:省略

(4)治療頻度・期間:毎日針刺1回、一般には30日を1療程とします。

(注:治療頻度や治療期間は理想的には上記ですが、一般的には、週1回から3回の頻度で行いますが、治療を頻繁に行った方が良い印象があります。)

治療理論

本証の多くは実証で、一部分は本虚標実症になり、臨床では弁証をしっかり行うべきです。疏肝解鬱法で取穴している経穴には、通衝任の効能・理気通経・疏肝解鬱・養血調経できます。去痰化湿法では、調理衝任・理気調経・去湿化痰・調理三陰・理気和血・理気化痰・調経種子の効果を収めることができます。活血去瘀法では、助気化・理衝任・調胞宮・化オ通経・活血化オ瘀・和血調経できます。併せて不妊症の経験穴を用いてゆきます。

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