東洋医学という選択肢

第五章 当院の治療

3 漢方薬によって身体を助ける

体を助ける補益薬を

 脳や神経に関係する病気では、治療で最も問題になるのが「体力」です。
 どんなに鍼灸で刺激をしても、体力が無くては上手くいきませんし、そもそも体力が無い人には強い鍼灸はできません。
 そこを助けてくれるのが漢方薬です。その中でも体を助けるジャンルのものを「補益薬」と言い、いろいろな種類があります。

ALSやMNDには亀鹿二仙膠・地黄飲子、CVDには亀鹿二仙膠・補陽還五湯など

 亀鹿二仙膠の効能は、温陽益気・填陰補精と専門的には言います。これは簡単に言えば全身的な虚弱によって出てくる症状に良い、と言うことなんですが、進行性の病気や脳や神経系の病気に良いとも解釈できます。これらの病気は出ている症状があたかも弱っているように見える、もしくは本当に弱っているからで、成書にも「慢性に経過する虚弱症候、とくに神経筋疾患などに有効である」とあります。
 地黄飲子の主治は、瘖痱証とあります。瘖痱証とは、「手足がうまく動かず痛くないものでうまく話せなくなったもの」と古典にありますが、これはALSやMNDに近い症状です。
 補陽還五湯の主治は、中風後遺症とあります。中風とはCVDのことですが、更に気虚血瘀の状態に使うとあります。簡単に言えばCVD後遺症で元気が無くて血行が悪い時に使うと言うことです。(参考書籍:中医臨床のための方剤学、神戸中医学研究会編著、医歯薬出版株式会社)

病気に対してではなく、体調から判断して漢方薬は決める

 実際は、病名で漢方薬を選ぶ訳ではないので、体調や症状を考慮して選ぶことになります。ここは非常に重要で、今自分の体では何が起こっていて、それを改善するためには何が必要なのかと言う事を、東洋医学的に考えて漢方薬を決めないと上手く効かないどころか副作用の危険も大きくなってしまいます。
注意:2013.10現在、当院での漢方薬お取り扱いはございません。漢方薬服用に関するご相談か、漢方内科をご紹介しております。

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