呼吸器疾患

慢性鼻炎(鼻窒)

慢性鼻炎(鼻窒)の概要

鼻窒(びちつ)は、即ち鼻塞(鼻閉・鼻詰まり)の事で、鼻塞は軽くなったり重くなったりし、或いは両側の鼻孔が交互に閉塞します。反復して発作を起こし、経過は長く完治せず、酷い時には嗅覚が無くなるなどの特徴を持つ一種の病証です。

その発病には季節性と地域性は無く、多くは湿度が高く涼しい環境に置かれた後に増悪します。その病因病機は傷風によって鼻塞が反復発作を起こすか或いは空腹や満腹や疲労や肺脾気虚から、邪気が鼻竅に停滞して発病に至ります。

治療上では補益肺脾・行気化瘀・袪邪通竅を以って主要な方法とします。現代医学の慢性鼻炎が本病に相当します。その病理変化は鼻腔粘膜の慢性炎症です。多くは急性鼻炎の反復発作あるいは経過が長くなり完全に治らなかったものによるか、或いは近接器官(副鼻腔・扁桃体など)の炎症が干渉して鼻粘膜の慢性充血腫脹を引き起こします。

症状

鼻窒は時には軽く時には重い、反復して発作を起こす、経過が長く完治しない、酷い場合は嗅覚が無くなる。

鑑別

(1)急性鼻炎:
突然の鼻塞、鼻水、クシャミ、鼻の痒み、随伴症状として、悪寒・発熱・頭痛などの全身症状が見られる。鼻粘膜は充血・水腫が見られる。

(2)過敏性鼻炎:
鼻塞、クシャミ、鼻水の反復発作がその特徴。クシャミ・さらっとした鼻水が主証。鼻粘膜は蒼白・水腫が見られる。

鍼灸治療

(1)治則:
疏風清熱・宣肺通竅(風邪を疏通させ熱を冷ます、肺を宣通させ竅を通す)。

(2)配方:省略
(3)操作:省略

(4)治療頻度・期間:
本証の治療は1回目で効果が見られることが多いです。但し毎日針刺2回、15回を一療程として連続治療することでよい治療効果を強固にすることが出来ます。

(治療頻度や治療期間は、理想的には上記ですが、一般的には、治療頻度は週2・3回で、治療期間は症状が改善するまで行ないます。また、予防や症状のコントロールを目的とした場合には、週1回もしくは2週間に1回の治療を長期間行ないます。)

治療理論

鼻窒即ち鼻塞は、早くは『霊枢・本神』の中に見られ、「肺気虚、即鼻塞不利少気。」と、鼻窒の病因病機をはっきり述べています。明代の王肯堂は『証治准縄・雑病一』の中で一歩進んだ論述をしています。「若因餓飽労役所傷、脾胃発生之気不能上昇、邪害空竅故不利而不聞香臭。」ここでは鼻窒の主要な病因病機がはっきりと述べられています。

これらから、鼻窒は実証ですが、本虚標実の証であることが分かります。肺脾気虚が本で、邪が鼻竅に留まり、停滞して通じなくなったものが標です。風邪が肺を侵襲し、肺気が不宣となり、肺竅不利になります。風邪が長く留まる事で熱化し、孔竅を塞ぎ、不通になることが本病です。ゆえに治療は宣肺・散邪・通竅によって治法とします。
使用経穴は相互作用して泄熱・散邪・通竅の効果があり、鼻塞を治癒させます。

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