東洋医学という選択肢

第三章 自分で取り組める治療

5 その他の生活習慣

性生活は控える

 東洋医学では、「腎は精を蔵し、精は髄を生み、髄海を潤す」と言われています。髄海とは脳の事です。腎と脳は深い関係がある事を言っていますが、腎に蔵されている精を使ってしまうと髄海を潤せない、つまり脳を栄養できないことになります。
 この精ですが、ストレートに男性の精液のことも指します。つまりセックスによって精液を体外に出してしまうと精を使ってしまう事になります。女性についてはあまり言われませんが、基本的には治療期間中はセックスは控えめにしてください。

睡眠は大事

 東洋医学では「心は神志をつかさどる」と言い、睡眠は「心」の正常な変化によって起こるとされています。神志とは脳の機能のこと、つまり精神のことですが、「心」の状態が脳の機能に影響すると言う事です。
 睡眠が良くないと「心」も良くない事になりますので、結果的に睡眠状態が良くないと脳に対しても良くないと言う事になります。
 大変な病名が目の前に現れて、気持ちが落ち着かずに夜眠りずらくなったり、すぐに起きてしまったりすることは、ある程度はしょうが無いことだと思います。ですので、現代医学の薬を使っても、漢方を使っても、鍼灸を使っても良いので、睡眠できるようにしてゆきましょう。

短気は損気

 どんな病気でもそうですが、特に脳や神経に関係する病気では、焦りやイライラはものすごくマイナスに作用します。
 本当に「短気は損気」です。
 気が損なわれて、体にとって良い事は何一つ起こりません。また、体の状態からイライラしやすくなっている場合もあります。
 運動や瞑想などによって解消するか、鍼灸や漢方薬を使って改善させるようにした方が良いので、焦りやイライラは隠さないで伝えて下さい。

「別焦急、笑一笑」(焦る必要は無いよ。ほら、笑って笑って。)

 何を隠そう、偉そうなことを書いている私も、脳病に対する勉強を始めたころ、とにかく焦って勉強していました。
 中国天津の大学病院での研修期間にも限りがあったし、外国人である私にはいろいろなハンデもあります。現代医学的にも東洋医学的にも脳に関係するものはとにかく難しいし、やるべき内容も多い。毎日、本当に戦いといった心境でした。
 でもある日、私の先生が「別焦急、笑一笑。(焦る必要は無いよ。ほら、笑って笑って。)」と言ってきたのです。こんなに頑張っているのに何を言うか?と一瞬思いましたが、オレ、相当テンパッてるんだな、とすぐに思い直しました。
 物事をテンパッてやってる人って、あんまり上手くできていない人の事ですよね?焦る気持ちそのものは悪いものではないと思うし、それはそれでいいと思うんです。でも、焦る気持ちと併せて気持ちの余裕も持ち合わせなさい、と教えてもらったと思いました。

サプリメントは目的を持って、PDCAを考えて使う

 健康食品やサプリメントは医療品ではありませんから、医学的効果はあまり無い、もしくは、分かっていない事になります。しかし、試してみないと分からないのも事実です。その際、ちゃんと計画を立てて使ってください。
 良く仕事で使うP(計画)、D(実行)、C(確認)、A(改善)を意識して下さい。例えば、あるサプリメントを試す時、一ヶ月間使ってみて筋力に変化が出るか試してみる(計画)。実際に一ヶ月間試してみる(実行)。一か月後、筋力に変化はあったのか、もしくは顕著ではないが変化はあったのか、増えたのか減ったのか、筋力以外の体調などの変化はあったのか(確認)。もう少し続けてみるのか、中止するのか(改善)。といった感じです。
 やみくもに、良いと言われるものを使うのは、時間的にも金額的にもあまり良いとは思えません。ちゃんと確認することで、その時使った状況(体調や環境も影響することもあります)では、このような結果になったという記録が残せますので、うまくいった時も、いかなかった時も有用な情報になります。

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