東洋医学という選択肢

第三章 自分で取り組める治療

3 運動

日常生活でも十分

 本来は日常生活で体を動かす程度で運動量は十分足りるはずと思います。いろいろな状況があるので、みんなが日常生活だけで十分とは言いませんが、ただ座ってテレビを観るのだって、それなりに筋力も体力も使います。
 運動量で考えると多少歩いたり、筋肉トレーニングをしたりしても、大した運動量はありません。それよりも日常生活における普段の素行の方が運動量が多いです。
 普段から姿勢を良くすること、どたどた歩かないこと、よく噛んでご飯を食べることなどなど、当たり前のことを当たり前にすることが一番大事です。

ラジオ体操は意外とよくできている

 ラジオ体操は誰が考えたんだか知りませんが、ものすごく良くできています。私の勝手な想像ですが、きっと元ネタがあるんじゃないかと思います。例えば、江戸時代のどっかの藩の流派の基本の型をアレンジしたとか。
 とにかく良くできているし、日本人なら大体知っているはずです。忘れていても、ちょっと見たり、あの音楽を聞いたりするとできてしまう人がほとんどではないでしょうか。
 最近はラジオ体操の解説本やDVDなども出ているようですが、何はともあれ、明日からやってみては、どうですか?

太極拳やヨガなども良いが良い先生に習うべき

 良く聞かれるのが太極拳とかヨガとかについてです。
 私は中国武術を遊び程度ですが20年くらいやっています。その経験から言わせてもらうなら、どちらもいろいろな意味でとてもお薦めできます。しかし、いくつかの条件があります。
 まず、自分に合うかどうかです。太極拳やヨガをやって楽しいと思えたり、合っていると思えれば良いと思いますが、そう感じないのなら違うものを探した方が良いと思います。
 そして、良い先生との出会いです。習い事は、どれもそうなのかも知れませんが、自分にとって良い先生から習えるかどうかは大きいです。例えば中国武術の基本に馬歩と言うものがあります。馬にまたがっているような形になるので馬歩と言いますが、ようは空気椅子です。いたってシンプルな形です。しかし、この馬歩の練習にはいくつかの意味があります。良い先生に習う事ができれば練習を通して、そこに導いてくれるでしょう。

動く練習も動かない練習も必要

 普通、運動と言えば動いてするものと思われていますが、実は動かない練習も非常に重要だったりします。例えば、剣道や柔道は動いて稽古しています。しかし併せて正座して座禅のような事もするはずです。
 昔からあるものにはこのように動静両方の運動要素が入っています。
 簡単に解釈すれば、動く練習は動くための筋肉を付ける練習、動かない練習は無駄な力を入れない練習、もしくは姿勢保持に重要なインナーマッスルを付ける練習とも言えます。

休息の時間を必ず確保する

 脳や神経の病気で運動をする場合は、運動のし過ぎはよくありません。しかし、運動しないのはもっとダメです。
 どの程度の運動量が今の体調に適しているのかはやってみないと分かりません。そこで私からの提案は、運動をする場合、必ず休息の時間を併せて確保することです。
 例えば、1時間運動に確保できたら併せて15分は休息に確保し、全体で1時間15分時間を確保します。普通は運動する時間しか確保しないと思いますが、脳や神経の病気の方は必ず守って下さい。
 その時の体調で、同じように1時間歩いても疲れ方が違うと思います。もし、今日は疲れたと思えば確保してある15分の休息時間でストレッチをするなりアイシングをするなり休息して下さい。逆に全然疲れなかったら、その15分は別の事に使えばいいです。この併せて確保した休息の時間で運動のし過ぎをフォローすればいいんです。

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