鍼灸には、どのような作用があるの?
鍼灸治療は、「はり」や「灸」を用いてからだの表面にある「ツボ」を刺激することにより様々な症状を改善します。その主な作用として、
1. 痛みを和らげます
⇒ 鍼灸の刺激を感じることで鎮痛効果があります。つまり、『痛み』がある病気に痛み止めとしての効果があります。
2. 治る力を助けます
⇒ 鍼灸によって機能回復を促します。
つまり、 自己治癒力を回復させる事でより健康に向かってゆきます。
3. 血行を良くします
⇒ 全身の血行を改善して凝りや滞りをなくします。
などの作用が一般的には言われています。
感染症が心配なのですが・・・
当院で治療に使用する「はり」は、基本的に使い捨てのディスポーザブル鍼を使用しておりますので、感染症の心配は全くありません。
一部の使い捨てとして使用できない非常に特殊な「はり」は、
個別に滅菌消毒して使用しています。感染症には十分配慮していますので、全くご心配はありません。
鍼は痛くないでしょうか?
全く痛くないと言ってしまえばウソになってしまうかもしれませんが、鍼灸治療に使う「はり」は、縫い針や注射針とは違い、0.16mm~0.25mm(普通の注射針の1/5~1/3)ほどの細さで非常に細く、ステンレスや銀などを使い、材質も柔らかくしなやかですので、痛みは非常に軽微です。
また、治療をするために考えられてきた治療道具ですから、「はり」自体が痛みを出しずらいような形状にもなっています。また、治療の際に多少刺激と感じられる場合もがありますが、これは「得気」と呼ばれるもので、治療効果を高めるために必要な感覚です。
鍼灸でどんな病気が治療できますか?
みなさんが思っているよりも、たくさんの症状や疾患に対して鍼灸を用いてアプローチすることができます。
当院の鍼灸治療は、特に脳神経領域(脳梗塞後遺症や筋萎縮性側索硬化症など)と婦人科系(生理不順や不妊症など)の疾患に対して力を入れています。また、現代医学ではうまく対応できなかった症状などに対して治療するとよい効果が見られることが少なくありません。しかし、鍼灸治療だけで症状や疾患がよくなるということは無く、必ず生活習慣の改善取り組みなど患者さまの協力が必要です。これは鍼灸治療に限った話ではなく現代医学でも同様ですので、ご協力をお願い致します。
以下に世界保健機構が提示した認定鍼灸適応疾患を示します。
ご覧の通り、いろいろな疾患がありますが、これら以外にも適応になる症状や疾患がありますので、詳細はお問い合わせください。
鍼灸適応疾患(世界保健機構(WHO)認定鍼灸適応疾患より)
- <神経系疾患>
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)後遺症、神経痛、神経麻痺、痙攣、自律神経失調症、神経症、心身症、不眠症、頭痛、めまい、肩こり
<運動器系疾患>
- 関節炎、関節症、肩関節周囲炎(五十肩)、慢性関節リュウマチ、頚肩腕症候群(頚椎症)、腱鞘炎、腰痛、外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
<循環器系疾患>
- 心臓神経症、高血圧、低血圧
<消化器系疾患>
- 胃腸炎、胃アトニー、胃下垂、胃酸過多症、消化不良、口内炎、舌炎、歯痛、胆石症、肝機能障害、下痢、便秘、痔
<呼吸器系疾患>
- 咳嗽、感冒、鼻炎、咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎、気管支喘息、気管支炎
<内分泌系疾患>
- 糖尿病、バセドウ氏病、尿崩症
<代謝疾患>
- 貧血、脚気、痛風
どうして鍼で治療ができるの?
鍼灸治療で使用する「はり」は非常に細い(鍼の直径は0.16mmから0.25mmほどです)ものですが、薬も使わずこのような細い「はり」でなぜ症状が改善したりするのでしょうか?
治療機序の解釈はいくつかあるのですが、現代医学的に簡単に説明するなら、鍼を刺すことで筋肉が緩みコリが取れたり、血行が良くなったりします。その結果、痛みが取れたりすると考えられています。
例えば、親不知(おやしらず)を抜いた後に鍼灸治療をしてから、痛み止めなどの歯医者さんから処方された薬を飲むと、
① 鍼をすることで局所の筋肉が緩む
② 腫れて痛い部分の血行が良くなる
③ 鍼自体の作用で痛みが軽減する
④ 薬は血液に乗って痛い部分に作用するので血行が良くなっていることで薬が効きやすくなる
といった風に作用します。抜歯以外にも現代医学的な治療の前後に鍼灸治療をしておくと、腫れが早く引いたり、比較的短期間で回復したりします。予想以上に治療効果は良いものです。
東洋医学では、痛みの治療をする時には、経絡の流れを整えることで痛みを治療をする事が出来ると考えられています。
「不通則痛」(通らないので痛む、つまり詰まることで痛みが出る)「不栄則痛」(栄養が無いので痛む、つまり栄養不足になって痛みが出る)が東洋医学では痛みの治療に対する二大原則なのですが、鍼灸をすることで気血の流れが良くなり、気血の詰まりを解消したり、十分な気血を供給出来るようにします(これを専門用語では、疏通経絡(そつうけいらく)と言います)。
例えば、肩こりで痛みが出ている場合は、その部位の筋肉が緊張していて血行が悪くなっていることは想像できると思います。これが東洋医学で言うところの気血が滞っている状態の一つです。滞っている、つまり詰まりがあるので痛みとして感じるわけです。そこに鍼灸をすることで気血の流れが良くなるので痛みが解消されるわけです。
また、中医学では経絡と臓腑には関係があり(例えば経絡の名前は”手太陰肺経”といった風に臓腑の名前がつく)、経絡を調整することが臓腑の調整になると考えています。結果的に体の中の臓器に対しての治療になります。例えば、足三里は足陽明胃経にあるツボですので、胃(胃腸)に対する治療効果があります。主治は胃痛、消化不良、下痢などなど胃(胃腸)に関する疾患を中心にたくさんあります。