神経筋肉疾患

不眠(不寐)

不眠(不寐)の概要

不眠・不寐(ふび)とは、正常な睡眠が獲得できない事を言います。軽い場合は、入眠が難しく、時々目が醒めるといった症状ですが、重い場合は、一晩中寝る事ができません。現代医学では、不眠症と言います。

中医学と現代医学ではこの病気に対する認識は比較的に近いです。中医学では本病の多くは思慮憂愁・操労過度(あくせくと働きすぎ)・損傷心脾・気血虚弱・心神失養によるものとされます。現代医学ではたくさんの要素が絡み合っているとされ、大脳機能活動が緊張の限度を超え、大脳皮質細胞が耐えられなくなった時に起こるとされています。

症状

睡眠障害、症状は入眠困難、睡眠が浅い、悪夢を多く見る、よく驚いて起きる。或いは一回起きると再度寝れない。精神が興奮し易い、疲れ易い、緊張性疼痛がある、多くは頭痛と自律神経失調症がある。例えば眩暈、動悸、胸苦しさなど。

鑑別

自律神経失調の症状から多種疾病が見られるので鑑別診断は非常に重要です。鑑別診断を慎重に進める必要があります。

(1)身体と脳の器質性疾患
身体の慢性感染症、慢性中毒、脳動脈硬化、脳内感染症、脳内損傷、脳内限定病変などの全てが自律神経失調様な症状を呈します。もし自律神経失調の症状がこれら疾病の後に発生した場合は、上述の身体と脳の器質性疾患と診断しなければなりません。これはこの類の疾病鑑別診断の鍵となります。

(2)精神分裂症
精神分裂症の早期と緩解期は自律神経失調の症状が現れます。但し患者は、その疾病に対してどうでも良い態度をとり、治療に対して切実ではありません。併せて相応の精神病症状が見られるので鑑別の助けになります。

(3)抑鬱症
鑑別診断は、常に困難です。特別なのは軽度抑鬱症の患者でよく自律神経失調と間違われます。この二種類の症状はよく似ていて、もし患者の抑鬱情緒検査を軽視すると往々にして誤診に至ってしまいます。このため臨床上で自律神経失調の診断をする時は、必ず抑鬱症の除外をしなければなりません。抑鬱症患者の特徴は、情緒が落ち込む、愉快感や興味が喪失する、自分を責める、自殺欲望が起こったり消えたりするなどです。しっかり理解していれば、鑑別は困難ではありません。

(4)その他の神経症
自律神経失調の症状は焦慮症や抑鬱症にもよく見られます。もし患者がこの類の疾病の典型症状を持っていれば等級鑑別診断の原則どおりに、まずその他の神経症の診断をしなければいけません。

(5)慢性疲労総合症
これは近年提案された疲労を主症状とするものです。休息しても解決しない病情が半年以上続いている総合症で、睡眠障害と本症はよく似ています。低体温、咽喉痛、リンパ節増大などの客観的症状があることで、自律神経失調との鑑別の助けになります。

鍼灸治療

(1)治則:
安神・鎮静・寧心(精神を安定させ、鎮めて落ち着かせ、心を安らかにする)

(2)配方:省略
(3)操作:省略

(4)治療頻度・期間:
針刺治療:15日以内は毎日2回、15日後は毎日1回、15~30日を1療程とします。
耳針治療:毎日1回、15日を1療程とします。耳圧治療は1日おきに1回交換します。3~6回を1療程とします。

(治療頻度や治療期間は、理想的には上記ですが、一般的には、治療頻度は週2・3回で、治療期間は症状が改善するまで行ないます。また、予防や症状のコントロールを目的とした場合には、週1回もしくは2週間に1回の治療を長期間行ないます。)

治療理論

不寐は「目不瞑」、「不得臥」、「不能眠」などとも呼ばれ、臨床常見病の一つです。

私たちは多くの臨床研究を通して、不寐の針刺治療は大脳皮質の興奮と抑制の調整を強め、正中縫線核セロトニン系統を調整したり、大脳皮質の抑制過程を深めたり、大脳皮質神経過程の平衡状態を回復させ、睡眠を改善することがわかっています。

不寐は情志内傷、多臓が疲労することで起こります。病機の鍵は心神被擾、或いは心神失養です。治療は寧心安神鎮静を主として、各穴を取り治療にあたります。本法は補を主とし、交通心脾、心腎を得意とします。故に良好な効果を治める事が出来ます。

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