婦人科疾患

月経痛・生理痛(痛経)

月経痛・生理痛(痛経)の概要

月経中か月経期の前後に発生する下腹部の疼痛の全てで、正常な生活や仕事に影響が出るものを痛経と言います。

痛経は、中医婦人科では経行腹痛とも呼ばれ、常見される疾病の一つで、青年女性に最も多く見られます。本証は早くは東漢の張機が著した『金匱要略・婦人雑病脈証并治』の中に既に記述が見られます。歴代の医家は本病の病機に対して既に十分な理解を持っていました。多くは労傷気血、体質虚弱、気滞血オ、或いは風寒の気の外襲、傷及衝任などにより到ると認識しています。明代の張介賓が著した『景岳全集・婦人規』の中には、「凡婦人経行作痛、夾虚者多、全実者少、即如以可按拒按及経前経後辨虚実、固其大法也、然有気血本虚而血未得行者亦毎拒按、故于経前亦常有此証、此以気虚血滞無以流通而然。」とあり、痛経病の虚実弁証に対して認識をより深めています。今日に到るまで臨床に対して指導的意義があることは変わりがありません。

鍼灸弁証論治は本病に対して比較的良好な治療効果があります。

症状

痛経の良く見られる症状は、発作性疼痛か持続性疼痛に発作的に痛みが増悪します。疼痛部位は下腹部以外では、腰仙部の酸痛(重だるい痛み)がよく見られます。重症の場合は面色蒼白、冷汗淋漓、四肢逆冷、悪心嘔吐などを伴い、甚だしいと昏厥などの症状が見られます。

鑑別

痛経は原発性と続発性の二種類に分けることができます。

原発性痛経では患者は生殖器官に器質的な改変は見られず、月経初潮からすぐに痛経が出現することが多いです。身体虚弱・全身性慢性疾病を患っている・精神が過剰に緊張している女性に多く見られます。

続発性痛経は痛経の症状を持つ以外に、併せて明確な生殖器の器質的病変を持っています。例えば骨盤腹膜炎・子宮内膜症・女性生殖器腫瘤などです。多くは月経初潮以後はまだ痛経はありませんが、原発病巣の形成に伴って痛経も出現します。本節では全て原発性痛経についての記述です。

痛経は腹痛を主要な臨床症状とする内外科疾病と鑑別を進めなければいけません。例えば急慢性虫垂炎・急慢性腸炎・胃腸痙攣などです。経期・臨床兼証・全身症状に関係あるかどうかなどの方面から区別すれば、一般的には鑑別は難しくありません。

鍼灸治療

(1)治則:
理気化瘀、活血止痛(気を整え鬱血を無くす、血行を良くし痛みを止める);或いは温経散寒、除湿止痛(経絡を温め冷えを除く、水分代謝を改善し止痛する);或いは益気補血、滋養胞脈(気を増し血を補う、胞脈を滋養する)。

(2)配方:省略
(3)操作:省略

(4)治療頻度・期間:毎日針刺1回、15回を一療程とします。

(治療頻度や治療期間は、理想的には上記ですが、一般的には、治療頻度は週2・3回で、治療期間は症状が改善するまで行ないます。また、予防や症状のコントロールを目的とした場合には、週1回もしくは2週間に1回の治療を長期間行ないます。)

治療理論

鍼灸治療に用いる経穴には、いろいろな作用があります。ある経穴は、下焦気分を調整し、衝任の気を調暢させ、気を巡らせ血を巡らせることで、経血が自ずから順調に流れる事になります。中医学では、痛みは『不通則痛』といって通っていない、つまり気や血などが正常な流れで無いと痛みが出ると考えますが、順調に流れる事で痛みを解消します。またある経穴は、子宮収縮を促進させ、化オ通経の作用が分かっている経験配穴です。全身状態が虚弱の場合には、全身の強壮作用がある経穴を使用します。これらは治療を続けるか、自宅施灸を続ける事で、先天後天を共に補い、気を足し血を充たし、自ずから月経痛の心配は無くなります。

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