呼吸器疾患

気管支喘息(哮喘)

気管支喘息(哮喘)の概要

喘息は気管支拡張、慢性気管支炎、肺感染症、リウマチ性心臓病、心拍動力減退などの疾病から引き起こされる重要な臨床症状の一つです。

中医学では、哮(こう)は音のある症状、喘(ぜん)は音の無い症状としています。古医籍の中では一般的に哮喘(こうぜん)は分けて論述されていますが、その病因病機の大部分は同じである事から、後代の医家は哮喘を併せて論じています。哮喘は突発性の発作とあえぎ呼吸が起こります。のどから喘鳴があることが臨床特徴である肺疾患です。本病は一年四季を通して発生し、老若男女を問わず起こります。患者の多くは季候と環境の変化で発作が起こります。例えば天候が寒くなる、変わった匂いや味の刺激、情緒の変化、飲食の不摂生、過労などがどれも誘発原因となります。多くの患者の原因は平素から脾虚失運し水穀が精微に変化できない、宿痰が長期に渡って内伏している、などに加えて外邪を感受した時です。発病の初期は邪気偏盛で気鬱血滞を起こし、哮喘は反復性の激しいところが特徴です。病程が長くなると、肺腎皆虚となり、摂納失司が起こります。それゆえ、哮喘の発作は、肺、腎、脾の三臓と密接な関係があります。

 哮喘治療の過程で、本病の病因病機は本虚標実証の特徴があり、且つ本虚がその主体である点に注目しました。それゆえ治療時には扶陽固本、扶正去邪に重点を置くことで良好な効果を納めることが出来ます。

症状

始めは鼻のどの痒み、クシャミ、鼻水、せき、胸苦しさなどの前兆症状が見られ、突発性に胸苦しさが増悪し、息苦しくなり、呼吸困難が発生します。呼気が延長し、両肺に喘鳴音が出現し、口を開けて肩で息をし、イライラして汗をかき、顏色は暗く紫がかり、唇は青紫になり、四肢末端は冷たくなります。一部の咳喘は痰が多く見られ、痰は病気の時期によって白くさらさらしているものや黄色く粘るものなど一定しません。

一般的には数分間、数時間継続し、十二時間を越え哮喘が持続状態にあると、呼吸不全の症状のため、顔面蒼白や、大汗、四肢が極端に冷たくなる、四肢末端が紫色になる、心拍動が極端に早くなる、喘息で横になれない、などが見られます。

鑑別

(1)肺感染症:
悪寒発熱、頭痛胸悶、胸痛、食欲不振、呼吸促進、鼻水、咽喉の痒み、痰のある咳嗽、血液生検にて白血球値の上昇、X線検査にて肺部に炎症所見が見られます。

(2)肺気腫:
長期に渡り咳、哮喘などの症状があり、且つ長期に渡り症状が緩解しない病歴を持ちます。咳嗽の際、同時に胸部が膨満し、空咳があり、イライラし、顔面は暗く紫がかり、全身に浮腫が見られ、病情は酷くは無いのですが良くなりません。X線検査では肺気腫を確認できます。

(3)肺癌:
肺癌の末期には喘息、咳嗽、喀血、呼吸切迫などの症状が見られ、併せて明確に悪性病変が見られます。細胞検査や胸部X線及び胸部CT検査にて確定診断が出来ます。

鍼灸治療

(1)治則:
宣肺散邪、固腎宣気(肺を宣発させ邪気を散らす、腎をしっかりさせ気を宣発させる)

(2)配方:省略
(3)操作:省略

(4)治療頻度・期間:
毎日2回、15日を1療程とします。

(治療頻度や治療期間は、理想的には上記ですが、一般的には、治療頻度は週2・3回で、治療期間は症状が改善するまで行ないます。また、予防や症状のコントロールを目的とした場合には、週1回もしくは2週間に1回の治療を長期間行ないます。)

治療理論

哮喘の多くは風寒、鬱熱、痰湿が長期に渡り壅阻肺気されたもの、肺失粛降から逆気し喘が起こるもの、肺、脾、腎の三臓が関係するもの、哮喘が長期に渡って治癒せず肺腎が共に虚し摂納失司に至ったものです。反復発作を起こしている病人は、その発作期では多くは邪気偏盛、気鬱血滞であり、本虚標実の証です。哮喘が反復発作を起こし、病程が長い場合の特徴は、邪実正虚で、治療では虚実を考慮し、補瀉を共に行い、補虚瀉実を施します。哮喘の病人は長期に渡ると、腎気を損傷しするので、固本納気を考慮し、更に健胃益気、資生化源も考え治療にあたります。この配方は去邪をしますが生気を傷つけず、標本兼顧の作用があります。

哮喘病の治療において、この治療方法を応用し、絶大な数の病人が哮喘から早期に緩解し、肺部のラ音も明確に軽減或いは消失しています。長年の臨床実践を通してこの治療方法はとても優れている事が証明されています。

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