東洋医学という選択肢

第二章 治療のための準備

2 優先順位を付ける

治療と生活のバランス

 治療をしてゆくにあたって、今までの生活を全く変えずに、治療を加えてゆくのが可能な方はあまりいないでしょう。治療する時間を作らなくてはいけない場合がほとんどだと思います。
 治療は大事です。でも生活も大事です。どちらも大事なのでどちらも完璧に取り組みたいところですが現実的には難しいです。
 ここで考えてもらいたいのが基本的なスタンスとして、治療を7:3で重視するとか、生活を6:4で重視するとか、治療と生活のバランスをざっくりとしてで良いので決めておいて頂きたいのです。

治療院で行う治療が一番でなくても良い

 治療に取り組もうとすると、治療院で行う治療を一番に考えないとダメだ、と思われている方が多いと思います。しかし、現実の問題として遠方にお住まいの方は、距離的な問題として頻繁な治療はできません。また、体力が弱く通院によって体力が弱り、症状が悪化してしまうような場合も頻繁な治療はできません。
 体の調子を良くしてゆく方法はたくさんあります。必ずしも治療院の治療が一番である必要は無いのです。

治療には適切な頻度やタイミングがある

 病気の状態や進行の速度、そして体調によって、治療の頻度やタイミングが変わってきます。脳血管障害(CVD)で体調が悪くなければ、できるだけ早く頻繁に治療した方が良い、などです。
 脳や神経に関係する病気は基本的に頻繁に治療した方が良いことが分かっていますし、CVDなどの突然起こる病気は、なるべく早い段階から治療に臨んだ方が良く、運動ニューロン病(MND)などの進行する病気は、一回の治療でたくさんの刺激は入れられないので長い間治療する必要があります。慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)などの免疫系の病気は症状が悪化する時期は現代医学を優先し、それ以外の時期に東洋医学的な治療を優先するなどです。

治療効果を最大に得るには治療に関する事柄の優先順位を上に

 鍼灸や漢方による治療効果を十二分に得るには、やはり治療に関係する事柄の優先順位を生活の上で優先して頂く必要があります。
 治療に関する事柄とは、鍼灸や漢方治療だけでは無く、食事や運動など(後述あり)も含めたものです。
 状況によってはどうしても仕事が忙しく、休息などがしっかりとれない事もあると思いますが、疲労が激しい状況で治療しても目的の効果はうまく発揮されません。
 どうにも調整できない時は、それはそれでしょうがありませんので、今の状況でベストを尽くすしかありませんが、選択の余地があるのであれば、治療に関する事柄の優先順位を上にして治療に臨んで頂きたいです。

治療によってある程度の時間制約がかかるので優先順位を決めて取り組む

 治療に取り組むにはある程度の時間制約がかかります。治療院で治療する時の治療時間もそうですが、例えば毎日ラジオ体操をするとなっても時間が必要になります。
 一日は24時間ですので、一日の生活習慣の中で何を優先して行うのかを、ある程度決めておく事をお勧めします。

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