症例報告:首の凝り、耳閉感・耳鳴り(メニエール病後遺症)
●患者 30代男性
●主訴 首の凝り、耳閉感、耳鳴り
●病歴 6年ほど前にメニエール病を発症。病院に通院して治療を続けているが首の凝りや体のだるさもある。また非常に風邪をひきやすくなった。それ以外にも、横になって寝がえりをしたり、起き上がったりするとめまいもある。
●診断
東洋医学 肝心虚、血虚
現代医学(参考) 耳閉感・耳鳴り
●治療方針
①東洋医学的に、肝・心包に対して治療
②背部筋肉を緩めて骨格調整
●経過
初回治療にて首の凝り、耳閉感、耳鳴りの症状改善。多少は症状が残る感じがあるが状況は良いとのこと。
●アドバイス
メニエール病の発症から期間が経っており、現在症状が大きく改善しても、身体は前の状態に戻ろうとしてしまう傾向が強いため、症状が戻ってくることが想像できる。しかし、治療を継続して行って行くことで、状態は良くなってゆくことがほとんどなので、継続して治療を進めてゆくことをお勧めする。
また、身体のバランスが取れた後、自然に血虚が改善されてゆけば問題は無いが、もし改善が弱い場合は漢方薬の服用を考えた方が良いと思われる。
耳閉感や耳鳴りは客観的に評価しづらく、また習慣化してしまって、なかなか症状の改善が見られない場合もある中、この患者さまは非常に良い改善をみることができました。まだ継続して治療をしてゆかなくてはいけませんが、このように東洋医学的に身体を把握して鍼灸治療を施すことで改善することも珍しくないため、鍼灸治療を考えてみるのも良いと思います。
※東洋医学用語説明
1.五臓 肝:現代医学的な肝臓とは少し違い、東洋医学では心身共に適度な緊張感で機能するように調節する作用、全身各部へ必要な血液量を分配する機能、胆汁を作る機能を持つ主要臓腑とされる。
2.五臓 腎:現代医学的な腎臓とは少し違い、東洋医学では全身における水の調節機能、成長・生殖に関する機能を持つ主要臓腑とされる。
3.肝 心 虚:上記の肝・心が弱っている状態。
4.血 虚:東洋医学的に身体を構成する要素の一つである「血」が不足している状態。現代医学で言う貧血に近い感じもあるが、血液の質が悪くなっていても血虚の症状が出るため、貧血とはイコールではない。
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