まっちゃん先生のコラム

コラム:眼の下のクマ

すっかり初夏の陽気になってきましたが、これから梅雨入りが待っていますね。少しの間、とても過ごしやすい気候が続くので、お出かけは今のうちにしておくといいでしょうね。
池袋のほうしょう鍼灸治療院です。

今回は、コラムを読んで頂いている方からのご質問について、私なりの見解を書かせて頂こうと思います。
頂いたご質問は「目の下のクマ」についてです。

目の下のクマには、大別して三種類あると現代医学的には言われています。
一つは、色素沈着によるもの。つまりシミのようなものです。次が、眼の下のたるみが影となってクマに見えるもの。最後が、血流障害によって起こるもの。つまりプールで寒すぎて唇が紫色になるようなものです。
現代医学的な局所解釈から考えると、色素沈着は局所に鍼刺(鍼を刺すこと)すると、鍼刺部位周辺の血流が良くなるので、改善の可能性が出てきます。たるみについては、眼窩内の組織(つまり眼球と頭蓋骨の間の組織)が弾力を回復すれば、たるみが改善する可能性が出てきますが、これもその部位に鍼刺することで改善の可能性があります。血流障害についても、同様に鍼刺によって改善の可能性があります。
この解釈では、クマが出ている部位に鍼刺する必要がありますが、この部位は血管が豊富で、かつ皮膚も薄く、内出血の可能性が高いため、この治療を受ける際には、このことを十分に理解したうえで受ける必要があります。

東洋医学的に、これらを解釈しなおしてみます。

まず、色素沈着ですが、東洋医学的に色素の沈着は気血が鬱滞して起こると考えられています。気の鬱滞では色素の変化が起こりやすく、血の鬱滞では色素の変化が起こりづらくなります。結果論的ですが、気の鬱滞による色素沈着では治療によって軽減したり、分からなくなるくらいに変化することがありますが、血の鬱滞では、大きな変化は起きづらく、良くて軽減するといった感じです。治療前に、気か血かの判別は難しいので、治療の結果として、軽減すれば気の鬱滞だった、と言う感じです。
治療では、気血の鬱滞を解消するようにすればよい訳なので、経絡という概念を使って気血の流れを良くしたり、臓腑という概念を使って、身体全体の気血の流れを良くしたりします。

次に、たるみですが、眼窩内の脂肪が緩んで起こると思われますが、眼球が下に沈んだとも解釈できます。この場合、東洋医学では「脾」が治療のポイントになります。また、総論として気虚や陽虚でも全身的に組織が緩くなる傾向があります。東洋医学で言う「脾」は、現代医学的に言うと消化機能に近いので、消化器の問題を先ず解消することから始めます。ちなみに、気虚や陽虚も消化器の問題を解消することで改善の方向が見えてくることが多いので、まずここから取り組みます。
つまり、治療では「脾」を中心に取り組んでゆきますが、飲食の問題を無視して治療しても、まずうまくゆかないので、普段の飲食物の見直しや、食べ方の見直しは重要です。

最後に血流障害ですが、頭顔面部全体の血流障害から起こることが多いです。併せて、何らかの理由で全身性に血流が悪くなっていると顕著に起こるようです。よく、徹夜とかすると、眼の下にクマができやすいですが、これは、東洋医学的に解釈すると、睡眠不足は心や腎を痛めることが多く、腰部の筋緊張を生みやすいです。それに合わせて後頭部から首にかけての表層の筋肉が緊張することが多いです。併せて、徹夜によって気虚を起こし、つまり疲労により、血液循環が落ちたり、血液の質が落ちたりして、頭顔面部全体の血流障害が起きやすく、皮膚の薄い場所、つまり目の下とかに、その症状が出やすくなります。
よって治療は、循環を向上させることと、疲労を解消させることがポイントになります。徹夜とかなら、十分に睡眠をとった後で、ラジオ体操したり、ストレッチしたりすると解消してゆくことが多いと思います。

実際の鍼灸治療では、上記の方針で治療に取り組んでゆきますが、眼の下のクマが比較的長い時間(数週間とか数か月以上)出ている場合は、局所の治療を併せて行う事が、治療効果を上げる可能性が高いので、内出血のリスクを考慮したうえで、必要に応じて局所にも鍼刺します。

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