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脳血管性認知症

脳神経疾患の臨床と研究

脳血管性認知症の概要

「認知症」とは、以前は「痴呆症」と言われていた疾患です。

脳血管障害に起因して起こる認知症を脳血管性認知症と言いますが、脳卒中で倒れてその後遺症として見られる以外に、小さな脳梗塞や脳出血が何回か起こることで徐々に認知症が顕著となるものがあります。また、「まだら痴呆」とも呼ばれます。

この「まだら痴呆」の特徴は、段階的に悪化してゆく点と、うまく物事が思い出せない以外にも、つまずきやすくなったり、箸がうまく使えなくなったりと他にも症状を伴う点です。また、多くは長い期間をかけて徐々に推移しますが、1~3ヶ月の短期間で急激に変化することもあります。

中医鍼灸ではどのように考えるか

中医学では、このような認知症も一般的な認知症も、「腎」にある「精」が少なくなる事が基本的な原因と考えます。また、「精血同源」と言って、「精」を蔵する「腎」と、「血」を蔵する「肝」は密接な関係があります。また、人の精神は「心」が統率していると考えるため、物忘れが激しかったり、理性が保てないような場合には、「心」に問題があると考えます。

上記以外にも、外的要因(気温の変化や激しく動揺するような出来事など)、内的要因(血行が悪い、血管が詰まっているなど)によっても引き起こされ、特に中医学では血行が悪い事を「オ血」と言い、血管がコレステロールなどによって詰まる事を「痰濁」と言ったりします。

中医鍼灸ではどのように治療するのか

鍼灸治療では、脳に対して気血の流れに滞りがないようにすることと、精神を司る「心」や精血に深く関係する「肝」「腎」を調節する事に主体を置いて治療にあたります。

実際の治療は、頭や顔面の刺針が中心となります。他にも手や足のツボを使って「心」「腎」を整えるような治療もします。また、首のコリが非常に強い場合が多いので首に刺針する事も多いです。また、首へのツボに対する刺針は健脳の作用があるとされますので、本疾患では重要な位置づけとなります。

認知症では意識が不明瞭であることが多く、意識が不明瞭な状態に行なう治療は刺激が少し強いため患者様ご本人が治療を嫌がる事も少なくありません。治療効果を出すためには治療を一定期間継続する必要があるため、ご家族や介助の方のご理解・ご協力が不可欠です。

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害における後遺症に対する鍼灸治療の効果は、非常にすばらしいものがあります。高次脳機能障害と呼ばれる、失語症や認知症などは発症から比較的日数が経っていても機能回復していることが知られています。そして、この高次脳機能障害については、脳梗塞や脳出血による他の後遺症より、回復に対してご本人様の協力が何より重要となります。

日本では、まだまだ脳梗塞や脳出血の後遺症に対して鍼灸治療が有効であるということは知られていませんし、鍼灸治療自体もまだまだ知られていない部分が多いようです。ここで紹介させて頂いたように鍼灸で治療する事が出来るのです。

脳梗塞や脳出血の治療は時期を逃すと治療効果に大きな差が出てしまいます。これは、現代医学でも一緒です。いかに早い段階で適切な治療を始められるかどうかがポイントになります。

蓬松鍼灸情報館
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